ごあいさつ

かつてほとんどのコンピュータが単独で動いている時代がありました。
コンピュータの50年以上の歴史からすると、それほどの昔ではありません。わずか10数年前の話です。

その時代にはコンピュータは本来の字義どおり、まさに計算機として皆に使われていただけでした。
当時はコンピュータをネットワークでつなぐのはたった一つの目的だけで、それは計算結果を他のコンピュータ、あるいは遠隔にある表示端末に送るということだけでした。

コンピュータを利用したメールの価値と必要性を理解していたエンジニアは当時はほとんどいなかったはずです。もっとずっと後になってからも、インターネットはおろかEメールすら必要だとは思われてませんでした。
そのころある企業のIT担当者にはっきりと「弊社にはメールサービスなぞいらない!」と言われたことがあります。

今やコンピュータとネットワークが人と人を結びつけ、知識と知識を結びつける新しいコミュニケーションメディアであることを疑う人はいません。

コンピュータやネットワークが進化したから、あるいは単純に技術が進歩したから、
「今まで出来なかったことが出来るようになった。」という人がいます。しかしこれは違っていると思います。

多くの新しい、そして画期的なインターネットのサービスや技術は「出来なかった。」のではなく、
「出来るかどうかさえ議論されなかった。」、「仮に出来てもどう役に立つのかわからなった。」
ものが実際にはむしろ多いのです。

YouTubeもFaceBookもTwitterも技術的にはもっと前からあってもちっともおかしくありませんでした。つまりそれらは存在しなかったのではなく、意味のあることが「認識されなかった」だけなのです。
これは技術のことだけではなく、新しいビジネス、新しい文化、すべてについて言えるのではないでしょうか?
いままでない「見方」で新しい「価値」を作る、そんな企業を目指していけたらと思います。

大出 富康